はっきりと意識せずに、ついやってしまった――「魔がさす」という瞬間は誰にでも訪れるという。
軍国主義への傾倒から民主主義による個の喪失、カルトによるマインドコン
トロール、衝動的な殺傷事件…それが犯罪につながらなくても、自分の思考・感情を制御できずに過ちを犯してしまうことはある。著者はそれを「悪魔のささやき」のせいであるとして、様々な事例を分析し、いかなる状況の下でどのようにしてささやかれるのか、そしてそれに対抗するにはどうしたらよいのかを説いている。社会の「刑務所化」により我々の心は強いストレスにさらされている。自分の内面を見つめ、自分の頭で考え、個人として生きていく。そんな真の「
個人主義」を身につけて、悪魔のささやきに耳を貸さぬようにすべしという著者の提言を心に留めておきたい。