2005-10-01から1ヶ月間の記事一覧

小野田襄二「やりなおし基礎数学」ちくま新書(2003年) ISBN:4480061002

0、素数、分数、方程式に関数……小学校から中学校で学ぶ算数・数学の基礎的概念を、暗記するのではなく自ら理論を考えることにより、理解を深めようという学習書。問答形式の構成により、読者はじっくりと考えながら読み進めることができる。 分数のわり算の…

来村多加史「キトラ古墳は語る」生活人新書(2005年) ISBN:4140881488

キトラ古墳の壁画が意味するものを、おもに中国の遺跡や史料の研究成果によって読み解いている。一つひとつの説明が丁寧なので素人にも理解しやすいが、基礎的知識をコラムとして各章末に分散させた構成だけは読みづらく感じた。 昨今の新聞報道によると、管…

杉田昭栄「カラス なぜ遊ぶ」集英社新書(2004年) ISBN:4087202348

身近にいるのに「ゴミをあさる」「子供を襲う」「黒くて怖い」など、とかく嫌われがちのカラス。さまざまな実験や解剖をもとに、彼らが他の鳥類に比べて高い能力を持っていることを明らかにしている。カラスがもっと別の体色をしていれば、また別の評価も得…

市川拓司「いま、会いにゆきます」小学館(2003年) ISBN:409386117X

あまり小説は読まないワタクシだが、書店でたまたま手に取り、一気に読み進んでしまった(実は本書を初めて読んだのは書店での立ち読みでした。今回は2度目の通読なり)。雨の季節に帰ってきた、亡くなったはずの妻。その謎解きもなかなか見事だが、なんと…

谷口研語「地形で読みとく合戦史」PHP新書(2003年) ISBN:4569633439

古代から近世まで、日本国内で行われた合戦を地形により類型化し、その地における双方の戦略から戦闘の結末までをたどった本。大軍が衝突する「原」、防衛線の争いとなる「川」、奇襲攻撃の「狭間」など、なるほど地の利を得た側が勝利した理由がよく分かる。…

森口満「ぼくらの昆虫記」講談社現代新書(1998年) ISBN:4061494058

セミやミノムシ、テントウムシにゴキブリなど、身近にいる昆虫を観察し、生態を探る楽しさを実録した昆虫とのつき合い方入門書である。捕虫網と虫かごを携えて野山を歩き、ファーブル昆虫記を読みふけった小学生の頃を懐かしく思い出した。

内藤高「明治の音」中公新書(2005年) ISBN:4121017919

幕末から第二次世界大戦前までに、日本にやってきた外国人が聴いた「音」。西洋化の進行に伴って、人の営みに関わる音や日本の音楽などが次第に変質していく様を、モース、ロチ、ハーンといった人々によって記録された著作により追いかけている。聴覚の視覚…

福島章「犯罪精神医学入門」中公新書(2005年) ISBN:412101796X

「人はなぜ人を殺すのか」。多数の精神鑑定を手がけてきた著者は池田小事件の犯人Tを題材として殺人者の心理を多次元診断する手法を紹介する。そして幾多の殺人犯の精神的な共通性を探り、それを踏まえて著者が提唱する《殺人者精神病》を解説、冒頭の問い…

石井和子「平安の気象予報士 紫式部」講談社α新書(2002年) ISBN:406272166X

源氏物語における季節や天候の描写を丹念に読み解いた著者によると、紫式部は驚くほど正確に気象状況を捉え、登場人物の心理とも連動させているという。物語の記述と実際の気象状況を対比して、物語で描かれた風景…光や風や雲、雨、雪等々…を立体的に感じさ…

中沢孝夫「変わる商店街」岩波新書(2001年) ISBN:4004307198

大規模スーパーや郊外型店舗に押されて青息吐息、「シャッター通り」などと揶揄されることの多い商店街。しかし、空洞化を乗り越えて生まれ変わろうとする芽も出てきている。本書はそうした先進事例から、商店街がいかなる手法で活性化しようとしているかを…

養老孟司「死の壁」新潮新書(2004年) ISBN:4106100614 2005/7/14

誰にでも等しく訪れる「死」をキーワードに、安楽死、テロリズム、臓器移植から靖国にまつわることなど、沢山の問題についての考え方を提示している。「人生のあらゆる行為は取り返しがつかない。そのことを死くらい歴然と示しているものはないのです」(本…

蒲原聖可「ベジタリアンの医学」平凡社新書(2005年) ISBN:4582852629

ベジタリアンとは「菜食主義者」ではなく「肉を食べない人」のことだという。本書ではベジタリアンの栄養面・疫学的見地からの評価などを元に効果を分析し、実際の適用上の注意などベジタリアンを志す人には一読する価値のある情報を多数盛り込んでいる。と…

加藤健二郎「戦場の現在」集英社新書(2005年) ISBN:4087202836

近代戦における「戦場」はどのようなものなのか。兵士はどのように行動しているのか、ジャーナリストはいかなる手法で取材を行っているか、数々の戦争地域に潜入した著者ならではの迫真のレポート。陣地の作り方から印パは臨戦態勢にないことを見抜いたり、…