2006-05-01から1ヶ月間の記事一覧

白石昌則「生協の白石さん」講談社(2005年) ISBN:4062131676

東京・小金井の農工大学生協「ひとことカード」を舞台に繰り広げられる、学生と「担当者」白石さんのユーモラスなやりとり。珍問奇問無理難題を前に、巧みな回答を連発する白石さんの利発さは爽快ですらある。ワタクシが回答者だったら駄洒落に堕してしまい…

福岡伸一「プリオン説はほんとうか?」講談社ブルーバックス(2005年) ISBN:4062575043

「伝達性スポンジ状脳症(狂牛病やスクレイピー、ヤコブ病などと感染するものによって異なる名称を与えられている)の発病はプリオンに起因する」その発見者としてノーベル賞を受賞したプルシナー。しかし、その理論に綻びはないのか。様々な角度からの分析…

新井潤美「不機嫌なメアリー・ポピンズ」平凡社新書(2005年) ISBN:4582852734

英文学とその映画化作品をもとに、英国人の階級意識とそこから生じる生活の諸問題を取り上げている。「言葉遣いでお里が知れる」とは日本でも言うが、幸いなことに我が国では今日「階級」というものを意識することがない。そういう伝統を受け継がなかった幸…

久保田展弘「さまよう死生観 宗教の力」文春新書(2003年) ISBN:4166603698

「死」をどのように捉えるか。即ちそれは「生」を如何に捉えるかに他ならない。パレスチナで、インドで、日本で、さまざまな宗教や思想と向き合いながら著者は生と死の意味を問い続けている。記憶にない父の死、闘病の果てに迎えた母の最期。身近な死と普遍…

佐久間充「山が消えた」岩波新書(2002年) ISBN:4004307899

千葉県房総半島。山砂利採取とその運搬に伴う悪影響は今なおなくならない。それどころか今日では建設残土や産業廃棄物が持ち込まれ、事故や煤煙、地下水汚染などの様々な様相で生活環境を脅かし続けている。著者は現地の住民ばかりでなくダンプ運転手や処理…

ダン・ブラウン「ダ・ヴィンチ・コード(上・中・下)」角川文庫(2006年) ISBN:4042955037

ISBN:4042955045 ISBN:4042955053 映画公開も間近になった話題の作品。読み始めたら読了まで一気に突っ走ってしまった。キリスト教や西洋史の知識があるとなお楽しめ、理解もしやすいだろう。クライマックス直前までのめまぐるしい展開は見事。ただ、結末は…

きりばやしひろき「大人のための3日間楽器演奏入門」(2005年) ISBN:4062723557

3日間の合宿に参加して練習すると誰もがバンド演奏できてしまう……そんな夢のような体験が味わえる合宿を主催する著者による楽器練習の困難克服法。理論的な部分、また実際の技術論については相当端折られているため、事の真相は参加してみなくては分からな…

岩下明裕「北方領土問題」中公新書(2005年) ISBN:4121018257

膠着状態が長く続いている「北方領土問題」。かつては武力衝突を起こしていた中ロ国境問題が平穏に解決した事例を元に、この問題を如何に解決していくべきかを示唆した一冊。著者によれば「フィフティ・フィフティ」という政治的妥協、即ち「2+アルファ」…

米山公啓「医学は科学ではない」ちくま新書(2005年) ISBN:4480062785

衝撃的な書名だが、著者は様々な角度からそれが事実であることを明らかにしている。「平均的医療」と個々の症例との食い違い、過去の経験則に基づく投薬などの治療方針の決定など、再現不能である点は確かに「科学的」ではないかもしれない。また、健康食品…

足立紀尚「牛丼を変えたコメ」新潮社新書(2004年) ISBN:4106100827

北海道で生産される「きらら397」誕生までを追った実録。様々な苦労を積み重ねて稲作を定着させ、さらには食味を改善していく一連の営みには圧倒される。バイオテクノロジーのなかった時に、交配だけで新品種を生み出した先人の努力は称えるべきだろう。 米…