2007-02-01から1ヶ月間の記事一覧

高瀬淳一「『不利益分配』社会」ちくま新書(2006年) ISBN:4480063161

財政赤字の恒常・肥大化、経済の低成長と少子高齢化が進み、日本の政治の役割は国家の存続のために「既得権益の剥奪」と「新たな負担の強制」という2つの不利益分配へと姿を変えようとしている。小泉政権がその先駆者として、様々な角度から分析した一冊。…

長沼毅「深層水『湧昇』、海を耕す」集英社新(2006年) ISBN:4087203638

「海洋における食物連鎖」と「海流」という一見つながりのなさそうな2つの要素が、実は人類百億人時代の食料生産を支えるカギとなる……そんな魅力ある話をわかりやすく解説してくれる。ミネラル分をたっぷりと含んだ海洋深層水が深海から湧き上がり(これが…

京須偕充「古典落語これが名演だ!」光文社新書(2005年) ISBN:4334033369

『古典落語CDの名盤』の第2弾として、70ほどの話のあらすじと聞きどころ、CD化された音源を紹介した本。話の抜粋が巧みで、それだけ読んでも笑いどころをきっちりと押さえている。第2弾とのことで有名どころの話は多くなく、余計に新鮮な面白みを感じ取…

鈴木琢磨「テポドンを抱いた金正日」文春新書(2006年) ISBN:4166605356

毎日新聞編集委員の著者が数多くの闇に隠れた資料からあぶり出す「北朝鮮」指導者の姿。事実は小説よりも奇なり、とは古から言い交わされる言葉だが、本書を読んでその思いを改めて強くした。隣の国は選べないのだよなぁ…。

勢古浩爾「ああ、顔文不一致」洋泉社新書(2005年) ISBN:4896919750

書名はもちろん「言文一致」のもじり。顔、即ち外見と、文、即ち心の表現とが如何に一致していないか、著者お得意の諧謔に満ちた筆致で次々と暴いていく。著者の作品を深く味わうには、読者にも一定以上の知識と教養が要求される。本作でも事情は同じで、表…

岩田規久男「『小さな政府』を問いなおす」ちくま新書(2006年) ISBN:448006320X

サッチャー首相下でのイギリスの「小さな政府」政策や高福祉国家スウェーデンの施策を検証するとともに、日本に於ける財政改革と「小泉改革」の歩みを統括的にまとめた本。我が国では結果の平等を期する余り、機会の平等が損なわれてきたとの指摘はもっとも…

田島慎一「世界中のお菓子あります」新潮新書(2006年) ISBN:4106101661

ソニープラザ誕生40周年。その黎明期から店舗運営や菓子輸入に携わってきた著者による、輸入菓子にまつわるたくさんの挿話をあつめた本。陳列棚を飾る賑やかな商品たちが店頭に並ぶまでには数々の苦労や出来事があったという。成功譚に終始しているのがやや…

八幡和郎「江戸三〇〇藩最後の藩主」光文社新書(2004年) ISBN:4334032419

幕末〜明治の政治体制変革期、約300存在した藩の藩主はどのような行動をとったのか。各藩毎の選択と結果、そして城址の現状をとりまとめた本。著者の視点は官軍を評価するもので貫かれており何となく落ち着かない。また、『殿さま』は所詮支配者であって責任…