八幡和郎「江戸三〇〇藩最後の藩主」光文社新書(2004年) ISBN:4334032419

 幕末〜明治の政治体制変革期、約300存在した藩の藩主はどのような行動をとったのか。各藩毎の選択と結果、そして城址の現状をとりまとめた本。著者の視点は官軍を評価するもので貫かれており何となく落ち着かない。また、『殿さま』は所詮支配者であって責任者ではなかった―多くの佐幕派が恭順の意を示すために家老の切腹で赦しを得た―ということも、何やら読後感を悪くしているようだ。
 それにしても図版などで年号の誤植が頻発しているのはなんたることか。20世紀になって新しい藩が設けられることなどあるまいに。ちょっとしたことだが、全体の信頼性にも関わることである。