2004-12-01から1ヶ月間の記事一覧

内藤陽介「外国切手に描かれた日本」光文社新書(2003年) ISBN:4334031897

切手を始めとする郵便物を通じ世相を分析する「郵便学」の一冊。前半は切手に描かれた怪しげな日本の姿(人物や風俗など)を紹介し、後半は戦前の日本が関わった「海外」切手の裏事情について述べている。 切手収集を楽しんでいた頃を思い出して懐かしくなり…

田中圭一「病いの世相史」ちくま新書(2003年) ISBN:4480061428

佐渡に伝わる史料をもとに、江戸時代の医療の実態を明らかにしている。時代劇などでは貧窮にあえぐ庶民がまともな治療も受けられずに死んでいく場面がよく登場するが、実際には多数の医者がいて薬草学も盛んであり、庶民がごく普通に治療を受けていた様子が…

小浜逸郎「エロス身体論」平凡社新書(2004年) ISBN:4582852254

「私」とは何かという哲学的問いかけに「身体」という面から接近を試みた一冊。読み進んでいくうちに「身体として・いる」というテーゼが良く理解できた。 売春する理由から臓器移植の考え方まで、知的考察としては興味深いものであった。

草野厚「癒しの楽器パイプオルガンと政治」文春新書(2003年) ISBN:4166602985

豪華な音楽堂の象徴的存在であるパイプオルガン。その導入から運用に至るまでの背後に渦巻く政治的要素をあぶり出す好著。公共ホールの設置物でありながら市民に開放されていないオルガンが大多数であることに驚かされる。本書ではオルガンをホールの飾りに…

奥田碩「人間を幸福にする経済」PHP新書(2003年) ISBN:4569628303

日本経団連が唱える社会・経済の改革提案。スッと一読すると「成る程」と思わされるところもあったが、よくよく見れば(あたりまえだが)企業側の論理が一貫しているのだった。

鷲巣力「自動販売機の文化史」集英社新書(2003年) ISBN:4087201872

日米欧における自動販売機の発達と現状を総括し、果ては自動販売機が環境や社会に与える影響までを分析している。ふだん何の気なしに利用している街中の自動販売機。その存在が当たり前なのは日本だけだという。 両替機やパーキングメーターまでが自動販売機…

武光誠「中国と日本の歴史地図」ベスト新書KKベストセラーズ(2003年) ISBN:4584120560

古代から遣唐使に至るまでの日本と中国の関わりについて、文献・資料に大胆な解釈を与え描き出した本である。書名に挙げるほど地図は多くない。 その独自の見解は興味深いものであるが....。

小野勇一「ニホンカモシカのたどった道」中公新書(2000年) ISBN:4121015398

特別天然記念物に指定されているニホンカモシカに関する概説書。分類学的見地や生態、そして「食害」に至るまで、読み終える頃にはカモシカ通になれそう。 『カモシカのような脚』が褒め言葉でないことは、あまり知られていないのだろうか・・・・。

中村浩美「読んで愉しい旅客機の旅」光文社新書(2003年) ISBN:4334032095

航空機の旅における物的・人的サービスについて、その歴史と現状を網羅的に紹介している。 機内設備や客室乗務員、果ては塗装に至るまでマニア的視点を随所に感じられる。数年に渡り年間搭乗回数が50回を超えた私としても、いろいろ楽しめる内容だった。ま…

小針進「韓国と韓国人」平凡社新書(1999年) ISBN:4582850243

韓国駐在経験の長い著者が肌で感じた韓国の人々の様子を紹介した本。導入部で我々が彼の国の人に抱いている先入観的印象を列挙し、読み進める内にそれらの当否が解る、という構成がおもしろい。政治思想の違いや南北統一に関する論考にも興味を引かれた。 本…

長谷川公昭「世界ファシスト列伝」中公新書(2004年) ISBN:4121501276

ヨーロッパを中心に、20世紀前半の政治を席巻したファシストを紹介した本。 人名と出来事の羅列は、まるで歴史の教科書のようでした。

野村総一郎「心の悩み外来」生活人新書(2003年) ISBN:4140880562

精神科の臨床医を長年続ける著者が、その豊富な臨床例をもとに「こころ」の障害を取り上げている。 元々が連載記事であるため、ほぼ均一の分量で章が改められ、内容の重複もかなりある。読みやすさという点からは、もう少し編集に工夫があっても良いのでは。

高山俊吉「道交法の謎」講談社+α新書(2004年) ISBN:406272250X

駐車禁止にネズミ取り、交通事故....。身近でありながら守られていない道路交通法について、その条文解釈から運用の仕方に至るまで解説した本。交通関係の弁護士である著者の視点は明快で、内容的にもわかりやすく整理されていた。事故の時の心構えや、各章…

白須英子「イスラーム世界の女性たち」文春新書(2003年) ISBN:416660340X

中東を中心に、イスラム教の影響下にある女性の姿を様々な切り口で紹介している。シバの女王などの歴史的叙述から現代のサウジ王室事情に至るまで、コーラン及びハディースを引用しつつ幅広い視点で捉えている。 本筋とは別に、トルコの街並みとそこを歩く人…

堀淳一「消えた街道・鉄道を歩く地図の旅」講談社+α新書(2003年) ISBN:4062721929

旧街道や廃線跡、古代官道などをずんずん歩いていく著者お得意の紀行文。各編毎に二万五千分の一地形図が添えられており、臨場感を盛り上げてくれる。訪問時期が明記されているのも配慮が行き届いている。 かなりの高齢にもかかわらず、その健脚ぶりには恐れ…