田中圭一「病いの世相史」ちくま新書(2003年) ISBN:4480061428

 佐渡に伝わる史料をもとに、江戸時代の医療の実態を明らかにしている。時代劇などでは貧窮にあえぐ庶民がまともな治療も受けられずに死んでいく場面がよく登場するが、実際には多数の医者がいて薬草学も盛んであり、庶民がごく普通に治療を受けていた様子がよくわかる。経験に根ざした健康に関する知識も豊富であったという。
 西洋医学の陰で失ってしまった生きるための知恵、どうにか取り戻せないものだろうか。