2005-02-01から1ヶ月間の記事一覧
「人権至上主義」ともいえる現状に対して論客が真っ向から挑む著作集。「人権」を国家対個人の文脈において捉える考え方からすると、巷間に蔓延している「権利意識」は理解しがたいものなのだろう。これらの論考に全面的な賛成はできないが、人権を「個人の…
簡単な実験→実用例→理論の解説という構成により流体力学にまつわる様々な事項を紹介している。解説の水準は高く、いささか難解な部分もあった。 理論はともかく、流体力学を身近に感じ取れる一冊でした。
部首と漢字にまつわるあれやこれやを集めた本。語り口が軽妙ですんなりと読み進めることができた(連載物の再編集なので同趣向の内容が再三出てくるのはやむなしか)。 そういえば、我が家には漢和辞典はありませんでした。うむむ。
機密費の不正使用、ODAにまつわる国会議員との不明朗な関係、北朝鮮とのつきあい方……ここ数年頻出した外務省を巡る不祥事から、外務省が内包する問題や弱点をあぶり出している。対米追従一辺倒の危険性を指摘するとともに、ODAの効果的な供与法についても述…
美術品から見たエジプト王朝の栄枯盛衰を編年体に記述した本。図表がもっと多ければさらに楽しめたであろうに。 この本、数年前に一度読んでいるのにまた手に取ってしまいました。題名の魔力か。
「心の作用は神経細胞の多彩なネットワークが作り出す」としたマルチ・ネットワーク理論により、意識や感情、精神に関わる病気までを解説した本。 喩えがうまく、「理論」としてはとてもわかりやすいものでした。
例によっての「赤マント」随筆集。今作では特に海外の旅日記がかなりの紙幅を占めている。その行動力がうらやましい限り。
物の大きさ・重さから時間、さらには世論調査まで、「計る」「測る」ことにまつわるよろず話を集めている。自然科学系ばかりでなく人文科学の分野にまで対象を広げていて楽しめた。 「謀る」ためには「計る」「測る」必要があるというのも面白い話である。
9・11テロの後、自殺行為とも思える失策を続けるアメリカ合衆国。特にイラク侵攻以降は政治・経済・外交面で自らの国益を損なう方向に進み続けている。著者はインターネットにより膨大な情報を収集、高度に分析することにより、これが意図的に行われてい…
カメ研究の専門家の立場から、化石標本をもとに恐竜の真の姿を探った本。「温血動物だった」「子育てをしていた」との説はいずれも妥当ではないとし、絶滅の理由についても「隕石の衝突による寒冷化」という短期的なものではあり得ず、より長期間の気候変動…
ヤミ金融の実態について、業者・被害者両面からの徹底的な取材により明らかにした渾身の一冊。法外な利息と過酷な取り立てに押しつぶされる姿は悲惨と言うしかない。ただ、ギャンブルなど遊興費に金を費やしてしまった愚か者に対しては、同情の余地なしであ…
ローマの街中に設けられた「泉」。古代から現代へと建設年次順に辿り、泉の造形から時の権力構造、そして市民の暮らしぶりまでを描き出した本。著者の撮影による写真が具体的イメージをふくらませてくれる。惜しむらくは図面がなかったことか。 ローマはいつ…
豊かな国土を支えてきた水。治水を怠ってきたがために荒廃する一方の自然環境に痛烈な警鐘を鳴らしている。 30年前の著作だが、その提言は今でも輝きを失っていない。「まだ間に合う」と信じたいが....。
天狗から西郷隆盛に至るまで18人の歴史上の人物になり、そのゆかりの地を「本人」として旅してしまおうという企画本。その大胆な着想についつい引き込まれ、読者もいつしか「本人」になってしまった気がするから不思議です。 変装の巧みさにも脱帽。