2007-01-01から1ヶ月間の記事一覧

松尾理也「ルート66をゆく」新潮新書(2006年) ISBN:4106101572

シカゴからサンタモニカまで合衆国中西部を貫く「ルート66」。2004年大統領選で「保守」共和党が勝利した土壌の背景と実態を現地で掘り起こした報告である。「南部・労働者」の民主党、「北部・都市層」の共和党という世界史の教科書的図式はとうの昔に崩壊…

山下柚実「給食の味はなぜ懐かしいのか?」中公新書クラレ(2006年) ISBN:4121502191

味覚・嗅覚・触覚・聴覚・視覚という人間の持つ探索能力「五感」の仕組みと、それらの連合による記憶や情動といったものに焦点をあて、「感じる」ことの不思議さを解き明かしている。 人(に限らず全ての生物)は、外部との情報交換なしには生存は覚束ない。…

竹内一郎「人は見た目が9割」新潮新書(2005年) ISBN:4106101378

対人間の情報伝達において言語によるものは僅か7%に過ぎず、殆どが非言語によるもの(ノンバーバル・コミュニケーション)であるとして、様々な事象から解説をした本。この手の心理学入門系書籍を何冊か漁った経験のある読者なら「あぁ、どこかで読んだな…

小泉義之「病いの哲学」ちくま新書(2006年) ISBN:4480063005

生と死、その狭間にある病の状態。古今の哲学者はそれらの相関をどのように考えてきたのか。尊厳死・安楽死はもとより、臓器移植の技術は生病死の根源的意味を古典哲学の範疇では捉えられないものにしてしまった。著者は「死に淫する哲学」を否定し、とこと…

三浦展「大人のための東京散歩案内」洋泉社新書(2002年) ISBN:4896916697

東京の街を気ままに歩くための指南書。この類の書籍は著者の価値観と読者のそれとが一致するか否かが重要だが、本書の場合は(ワタクシには)ハズレだった。特に地図が不十分なのは致命的。 本書は2002年の刊行である。4年の間に街の様相はかなりの部分で変…

恩田陸「夜のピクニック」新潮文庫(2006年) ISBN:4101234175

異母きょうだいの同級生でありながら口もきいたことのない貴子と融。高校三年生の初秋、一昼夜をかけて80Kmを歩き通す「歩行会」の一夜の出来事を描いた『青春小説』。互いに意識しすぎて素直になれない、子供と大人の端境期における心の揺らぎが魅力的な登…