2005-04-01から1ヶ月間の記事一覧
江戸時代を中心に、手妻と呼ばれた手品やからくり、舞台装置など、日本に古くから伝わる伝統芸能の「種」や「しかけ」を解説した本。その多くの手法が現代にも形を変えて残っていることに驚きを覚える。 卑弥呼以来、為政者には奇術的才能が求められているよ…
日本各地に伝わる冠婚葬祭の諸風習を紹介し、その意義を探っている。地域間の交流が現代ほど盛んでなかった時代には、各地で独自の文化・伝統が育まれてきた。今から見ると不思議なものもあるが、かつてはそれなりの意味もあったようだ。 冠婚葬祭も商業主義…
人間の消化管について、解剖学的見地から解説した本。かつて生物や保健の授業などで習ったはずの事なのにすっかり忘却していた知識を呼び覚ましてくれた。勿論、著者ならではの「モノの見方」が随所に披露されており、肩の凝らない読み物としても楽しませて…
2001年9月以降の(主に米国の)Webサイトをめぐる四方山話。著者のスクラップブックを共に見ているような気分になった。今日では、この手のblogサイトはたくさんあるので、こうした内容の「書物」は近い将来なくなっていくことだろう。
地球環境をこれ以上悪化させないためにはどうしたらよいのか。学者とのインタビューも交え、主に農業の視点から論じた本。客観的データも含んでいるが、多分に情緒的な記述が多いのが気になった。
交通事故事件に精通した弁護士である著者の体験記。時に被害者側、時に保険会社側と、相反する立場から法廷内外で交渉に当たり、依頼主を励ましたり諫めたりする姿は頼もしい。 「万が一のために」と掛けておいた保険が、実はあまり頼りにならないということ…
1997年、十分な検討もなされずに削減目標を定めてしまった京都議定書。本書では国際間の不公平や削減目標の実効性を検証し、あるべき姿を描き出している。事実上世界一厳しい目標を国民不在のまま締結・批准してしまった政府と国会の責任は重いと思う。 2005…
著者によれば「北朝鮮の社会体制は李朝の現代版であり、思想的基盤は儒教に根ざしている」という。北朝鮮のみならず韓国の政治・社会・思想をも厳しい目で分析した本。「反日感情の起源は植民地支配などではなく、それ以前からの歴史的民族意識の積み重ねで…
観光名所になっている竜安寺石庭。その造園年代、造園意図、造園者について独自の解釈を試みた一冊。著者によれば、江戸時代に西洋の造園技術を用いて作られたものだという。その論の展開が些か強引で、腑に落ちぬところもあった。 まぁそんな詮索はせずに、…
自らも多数の短編小説を書いている著者が芥川龍之介・向田邦子、そして自らも含む10人の短編小説を俎上に載せ、作品の良さ、制作法や味わい方までも紹介している。作法を惜しげもなく公開しているが、そんな「種明かし」をされても興醒めどころか、却ってそ…
相対性理論の解説書。タイムマシンを題材にした小説仕立ての導入部は取っつきやすいが、超光速粒子タキオンとメタ相対論の関連を巡るくだりあたりから数式が増え、理解力の限界に達してしまった。 物理学とは哲学なのだろう。この手の本は、余裕のある時にの…
「軽症うつ病」の概念と症例、治療、克服法などを体系的にまとめた入門書。本書が参考にしている笠原嘉「軽症うつ病」(ISBN:4061492896)を以前に読んだことがあったので、本書の内容もよく理解できた。最後の部分で「医者とのつきあい方・選び方」が記され…
古くから園芸植物として愛されてきた薔薇。歴史や品種、改良の経緯などを述べている。巻末に索引と分類系統図が付いているのは親切である。品種の説明に併せ白黒の精緻な図面が掲載されているが、美しい花を楽しむためにはカラー図版がほしいところ。 薔薇を…
介護保険には副題の「地域格差を考える」が示すとおり大きな地域格差があるという。保険金額のことは聞いたことがあったが、制度の運用面においても自治体間の違いはかなり大きいらしい。本書では制度の概略と特徴ある市町村の取り組みを紹介した後、望まし…
神聖ローマ帝国以前からハプスブルグ家の支配、プロイセンを中心とする統一から二度の世界大戦を経て現代に至るドイツの歴史を概観している。「ヨーロッパのドイツ」という視点で貫かれており、著者の歴史観が随所ににじみ出ている。地図や地名索引が充実し…