2005-03-01から1ヶ月間の記事一覧

養老孟司「バカの壁」新潮新書(2003年) ISBN:4106100037

現代人の心の様子、共同体、宗教、教育のあり方などについて語りおろした本。口述筆記の手法が活きて読みやすい文章となっている。刺激的な題名と併せ、2003年のベストセラーになったのも頷けるところ。 自ら「壁」を作らずに、より多くを受け入れられるよう…

南淵明宏「心臓は語る」PHP新書(2003年) ISBN:4569632653

心臓外科医の著者による心臓まるわかりの本。心臓の構造から病気、検査、治療、普段からの付き合い方など、知りたい情報が網羅されている。昼夜分かたず動き続ける心臓が、より身近に感じられる一冊だった。 外科医の技術は執刀数に比例するとのこと。しかし…

澤口俊之「あぶない脳」ちくま新書(2004年) ISBN:4480061975

脳科学者の立場から、近頃の問題行動(事件)を起こす心理を分析している。大脳前頭連合野が未発達だとまともな判断ができなくなるとのこと。「悪いこと」とわかっていながら行動が止められない輩が増えていることの恐ろしさをつくづく感じる。 本書には直接…

佐藤友之「これでいいのか日本の裁判」平凡社新書(2004年) ISBN:458285219X

行政相手の民事訴訟や刑事裁判などの豊富な実例を元に、裁判の現状についてまとめた本。司法制度改革が進められているが、司法と行政の関わりを考えると根本的な解決策には結びつかないと著者は指摘している。 完全に公平・客観的な判断というものはあり得な…

小林充「築地のしきたり」生活人新書(2003年) ISBN:4140880880

築地魚市場の実状について、現場取材に基づき活写した本。流通形態の変化とともに市場を仕切ってきた仲卸の地位も揺らぎつつあるが、今なお粋で鯔背な兄さんもいるそうだ。 場内外の飲食店の話を読んでいて、すぐにでも出かけたくなってしまいました。

中野不二男/五代富文「日中宇宙戦争」文春新書(2004年) ISBN:4166603612

2003年10月に、ソ連・米国に次いで有人宇宙飛行を実現した中国。今日の宇宙開発技術を総覧し、日本の水準は決して中国に劣っているものではないことを教えてくれる。それとともに、宇宙開発をはじめとする技術分野での我が国の戦略のなさも指摘し、21世紀の…

戦争遺跡保存全国ネットワーク編「戦争遺跡から学ぶ」岩波ジュニア新書(2003年) ISBN:4005004369

国内にある第二次世界大戦の遺構物を紹介し、そこから学ぶべきものやその手法について、理念から実際までを具体的に論じている。その視点は殆どが「加害者」としての責任を問うものになっている。 60年前の教訓を活かし、この国が誤った道を歩まぬように監視…

西中真二郎「市町村盛衰記」出版文化社(2004年) ISBN:4883382966

1920年、1950年、2000年の国勢調査により得られた各種の数値のうち、主に人口に焦点を絞り比較論考した本。分析の切り口の問題だろうが、数値の羅列に近く面白みはなかった。「元内閣法制局」という著者の経歴故かとも思われる。後半は地名の問題を取り上げ…

山折哲雄「こころの作法」中公新書(2002年) ISBN:4121016610

江戸時代から明治維新、軍国主義を経て現代へ…。移りゆく時代の中で、日本人の心のあり方を問う一冊。過去の事件や文学に描かれている「義理」と「人情」、そんないささか時代がかった言葉が象徴する社会と個人のせめぎ合いを見つめている。 日々の心得とし…

観山正見「太陽系外惑星に生命を探せ」光文社新書(2002年) ISBN:4334031293

惑星の成立過程に係る各種理論について、最新の観測技術やその成果による検証と併せ紹介している。他の科学と違い天文学では「実験」ができないだけに、観測と分析による理論構築がなされていく。近い将来の技術革新により、さらに妥当性を増した理論が作り…

谷口克広「織田信長合戦全録」中公新書(2002年) ISBN:4121016254

書名のとおり、織田信長の全合戦について記録した本。信長というと桶狭間以降勝ち続けていたような印象をもっていたが、実際には負け戦もかなりあったようだ。各章毎の文章は読みやすいのだが、必ずしも編年体でないため全体の流れがわかりにくいのが難点。 …

深井甚三「江戸の宿」平凡社新書(2000年) ISBN:4582850529

大名の泊まる本陣から庶民の宿、木賃宿に至るまで、江戸時代の「宿」事情について多角的に取り上げた一冊。宿の設備、もてなし、料金から経営の実態など、史料を元に活写している。 移動が不自由だった時代にあっても、宿が全国的に整備されていたのは驚きで…

畑中美樹「石油地政学」中公新書クラレ(2003年) ISBN:412150111X

イラク戦争後の中東とアメリカ、石油を巡る話題を取り上げ、今後の日本の関わり方についても論考している。本書は2003年11月発行、その後の事態は決して良い方向には推移しておらず、むしろ泥沼化の様相を呈している。 戦争そのものを目的にしているのでは、…

前野一雄「『健康常識』ウソ・ホント55」講談社ブルーバックス(2002年) ISBN:4062573709

医療・薬品・健康法・栄養・・・・日々生活していくうえで必要な「健康常識」について、その当否をわかりやすく解説している。世間に満ちあふれている『情報』に踊らされないよう心がけたいものである。 グレープフルーツと服薬との危険?な関係について、知…

野村正樹「『鉄道式』時間活用術」講談社(2003年) ISBN:4062642220

鉄道の運行に関わるシステムを題材にして、ビジネスマンの時間管理・発想法などを提唱している本である。その発想こそ面白いものの内容は表層的。鉄道ファンとして又ビジネスマンの端くれとして、もう少し掘り下げてほしいと感じた。 安全なうえに正確な日本…