2006-06-01から1ヶ月間の記事一覧

安部龍太郎「戦国の山城をゆく」集英社新書(2004年) ISBN:4087202372

中部〜近畿を中心にした山城を巡る旅。それは信長・秀吉による全国支配の過程の一部であった。著者の取材は各城を実際に訪れて攻防戦の真っ直中に身を置き、それにより城の存在を見つめ直すという手法をとっている。結果、単なる紀行や解説文に留まることな…

ダン・ブラウン「天使と悪魔」角川書店(2003年) ISBN:4047914568

ISBN:4047914576 「ダ・ヴィンチ コード」のロバート・ダングドンが登場する第1作。主人公がいきなり猟奇的な殺人事件の現場に招かれ、ヒロインと共に謎解きをするという構成は前掲書と同じ。その暗号解読の緻密さは「ダ」にかなわないが、時間制限の中で二…

古川愛哲「『散歩学』のすすめ」中公新書ラクレ(2005年) ISBN:4121501969

散歩は軽運動や気晴らしに留まらず、脳を活性化させ幸福感をもたらす。散歩をしながらの会話や道すがらの発見から受ける刺激を著者は「アウトドアカルチャー」と名付けた。本書には体験から導かれた散歩を楽しむコツが満載されており、読み始めたその日から…

田村秀男「人民元・ドル・円」岩波新書(2004年) ISBN:4004308992

発展を続ける中国経済。その原動力の一つは通貨政策にあった。人民元の経緯から現状を概観し、運用面での米ドルとの密接な関係を導き出すことにより、その強さの秘密を描き出している。また、日本円が今後アジアの基軸通貨として支持されるためには如何なる…

西郷信綱「日本の古代語を探る」集英社新書(2005年) ISBN:4087202844

紀記から万葉集、今昔物語などを丹念に辿り、古語の語源と語義を深く追究する著者。言葉そのものが本来持っている力というものに迫っている。ワタクシにとっては「詩学」という視点が目新しく、こうした研究手法の奥深さを再認識させられた。

村松友視「ライバルを探せ!」生活人新書(2005年) ISBN:4140881461

長嶋と王、中上健次と村上龍、猪木と馬場…著者によると、人が輝くためにはライバルの存在=対立構造が欠かせないという。対象はスポーツ界のみならず、文壇や芸能界にも及んでおり、著者のヒーロー/ヒロイン観から人生論までが見えてくる。 我が人生にも(…

東アジア環境情報発伝所 編「環境共同体としての日中韓」集英社新書(2006年) ISBN:4087203263

日本海を挟んで隣り合う日本・中国・韓国。黄砂・酸性雨・廃棄物輸出等々、環境問題は国境を越えて互いに影響し合う。本書では各国内及び国家間の環境問題が他国にどう影響を及ぼしているか、そしてその対応策がどのように検討・実行されているかをオムニバ…

安達正勝「死刑執行人サンソン」集英社新書(2003年) ISBN:4087202216

世襲制の死刑執行人サンソン家。その4代目当主は運悪くフランス革命期に当たってしまった。現実の執行人として元国王ルイ16世の首を刎ねたシャルル・アンリ・サンソンの生涯を中心に、恐怖政治とギロチンの発明の表裏一体関係など、フランス革命の見えざ…

藤岳暁「都市は他人の秘密を消費する」集英社新書(2004年) ISBN:408720264X

都市化の進展とマスコミの発達は人間関係に如何なる影響を与えてきたか。東西の推理小説を題材に、探偵と犯人の関係という独自の視点から考察を行っている。 他者への無関心は異常事態への感受性を麻痺させる。マスコミの煽情主義にその責任の一端があるのは…

佐伯有清「邪馬台国論争」岩波新書(2006年) ISBN:4004309905

邪馬台国はどこにあったのか。20世紀における研究者の成果をたどり、九州説から近畿説への変遷をその論拠とともに明らかにしている。卑弥呼は誰なのか、果たして魏志の記述はどれほど正確なのか等々疑問はつきないが、古墳や鏡鑑類の出土状況などから見ると…