安達正勝「死刑執行人サンソン」集英社新書(2003年) ISBN:4087202216

 世襲制の死刑執行人サンソン家。その4代目当主は運悪くフランス革命期に当たってしまった。現実の執行人として元国王ルイ16世の首を刎ねたシャルル・アンリ・サンソンの生涯を中心に、恐怖政治とギロチンの発明の表裏一体関係など、フランス革命の見えざる一面を明らかにした一冊。
 「正義」のために人命を奪うことも犯罪への因果応報としてはやむを得まいが、政治犯・思想犯への死刑執行は疑問が残る。その方面では自由な国に暮らす我が身の幸運を喜ぶばかりである。