2006-04-01から1ヶ月間の記事一覧

山粼武也「上品な人、下品な人」PHP新書(2006年) ISBN:456964726X

著者が出会ったさまざまな「下品な人」を列挙し、これを反面教師として「上品」な人間を目指そうという本。取り上げられた内容には思い当たる節も少なからずあり、一々納得してしまった。「上品とは自分の欲を抑えることである」(P221)との指摘を皆が心得…

小林恭二「心中への招待状」文春新書(2005年) ISBN:4166604848

古来人口に膾炙してきた「曾根崎心中」。実際の心中と近松門左衛門の創作、後世の改作を丹念に辿り、ロミオとジュリエットとの比較も交えながら、日本人の心に「心中」を焼き付けることとなったこの事件を多角的に分析する。著者は、本来の心中は崇高な愛の…

松井孝典「松井教授の東大駒場講義録」集英社新書(2005年) ISBN:4087203212

地球や太陽系の成り立ちなど、2005年の実際の講義録を元に編纂した一冊。最新の知見が盛り込まれており、進歩著しいこの分野の現状を感じ取ることができた。ただ、講義録ゆえに「時間がないので省略」する旨の記述が散見される。折角なので書籍化にあたり増…

宮元健次「仏像は語る」光文社新書(2005年) ISBN:4334033245

28の古寺名刹に安置された貴重な仏像を紹介し、寺院の縁起、仏像の建立に至る時代背景や芸術的見地からの着眼点なども含めた総合的な案内書となっている。図録として収録された白黒写真が美しい。 審美眼のないワタクシではあるが、飛鳥・天平期の力強さや平…

井上孝代「あの人と和解する」集英社新書(2005年) ISBN:4087203115

仕事や家庭などあらゆる場面で対立は発生するが、殆どの場合それを何らかの形で解決していく必要に迫られる。著者の家裁調停委員としての経験を交えつつ、解決法の心理について考察を行っている。双方が断念したり、一方が他方の要求を呑んだり、あるいは双…

河口鴻三「和製英語が役に立つ」文春新書(2004年) ISBN:4166603868

著者の言う「和製英語」は「ナイター」などの創作単語ではなく、本来の意味とはかけ離れた形で常用される英単語由来のカタカナ語のこと。これらの元々の意味や使われ方、口語表現などを豊富な事例で紹介し、活きた英語として使えるようにする知識を授けてく…

織田淳太郎「医者にウツは治せない」光文社新書(2005年) ISBN:4334033180

自らもうつ状態となり入院・投薬治療を受けたことのある著者が、患者・治療者双方の視点から現在の「うつ治療」をたどり、心と感情の問題を考察している。自らの経験や事例をもとに、薬剤や内観法などの治療法に対して一定の効果を認めつつも、それを万能視…

松村劭「ゲリラの戦争学」文春新書(2002年) ISBN:4166602543

古代から近年のテロ事件まで、「弱者」の戦争手段たるゲリラ戦争の事例から戦略を分析し、21世紀の戦争の姿を焙り出している。核抑止力の下では、軍事大国の正規軍同士が全面戦争を行うことは考えづらい。現状に不満を持つ勢力が圧倒的な敵の軍事力に対抗す…

山下芳樹・白石拓「浦島太郎は、なぜ年をとらなかったか」祥伝社新書(2005年) ISBN:4396110227

相対性理論や量子力学について「思考実験」という手法を紹介しながら解説している。紹介されている一つひとつの設問は本文を丹念に読んでいけばそれほど難易度が高くなく、「頭の体操」的に楽しんで無理なく読み進むことができた。ただ、各頁毎の脚注は煩わ…

越沢明「復興計画」中公新書(2005年) ISBN:4121018087

日本の都市が大火や地震、戦災などから立ち直ってきた事例を辿り、防災的見地を踏まえた都市計画の必要性を訴えている。関係者の努力により災害に強い街作りに成功して正に「災い転じて福とな」した事例、権利の主張と行政の無策や財政状況により中途半端に…

坪井秀人「戦争の記憶をさかのぼる」ちくま新書(2005年) ISBN:4480062521

敗戦から60年。この国は過去の反省どころか、いつか来た道を再び歩もうとしているかの如くである。今なお続く戦争とテロリズムの連鎖という状況を踏まえ、文学者や新聞メディアが太平洋・アジア戦争をどのように位置づけて伝えてきたかをたどり、戦争体験と…

中西雅之「なぜあの人とは話が通じないのか」光文社新書(2005年) ISBN:4334033105

日々暮らしていく中で欠かすことのできない他人とのコミュニケーション。しかし現実には、正しい手法を知らないばかりに、意思の疎通に失敗することもままある。本書では伝える/聞く技術を伝授するとともに、相手や状況による使い分けが大事であると説いて…

松崎哲久「名歌で読む日本の歴史」文春新書(2005年) ISBN:4166604481

古代から江戸に至る各時代の歌人100人を取り上げ、その人となりや代表作、関連する歴史敵出来事などを紹介している。高校の古典の授業で学ぶのはせいぜい新古今和歌集までだが、確かにその後の時代の歌には趣が乏しく感じられる。これは馴染みがない為ば…