越沢明「復興計画」中公新書(2005年) ISBN:4121018087

 日本の都市が大火や地震、戦災などから立ち直ってきた事例を辿り、防災的見地を踏まえた都市計画の必要性を訴えている。関係者の努力により災害に強い街作りに成功して正に「災い転じて福とな」した事例、権利の主張と行政の無策や財政状況により中途半端に終わった例などから学ぶべき点は多い。ひとたび災害(天災・人災を問わない)に見舞われたとき、前回の遺産がモノを言うことになる。
 東京は関東大震災と第二次大戦という二度の好機を活かすことができず危うい状況のままだ。遠くない将来に訪れるであろう震災のとき、「三度目の正直」となるか「二度あることは三度ある」こととなるか。