坪井秀人「戦争の記憶をさかのぼる」ちくま新書(2005年) ISBN:4480062521

 敗戦から60年。この国は過去の反省どころか、いつか来た道を再び歩もうとしているかの如くである。今なお続く戦争とテロリズムの連鎖という状況を踏まえ、文学者や新聞メディアが太平洋・アジア戦争をどのように位置づけて伝えてきたかをたどり、戦争体験と責任感の希薄化に警鐘を鳴らしている。
 私の幼少時には身近なところにまだ(旧)防空壕が残っていたし、不発弾処理のために立ち入り禁止の規制を受けたりと、間接的ながらも戦争を感じ取ることができた。無邪気に韓流だ華流だと喜ぶ前に、自国の歴史をもっと学ぶべしと言いたい。