2006-02-01から1ヶ月間の記事一覧
著者の「旅」にまつわるエッセイを集めたアンソロジー。その旅先はアジアからイスタンブール、スコットランドに及んでいる。元原稿の執筆時期が1972年から1996年へと長期にわたっており、旅行そのものの環境が大きく変わっているばかりでなく、著者の「旅」…
外国人である著者が小樽、高山、瀬戸内海、恐山、熊野など日本各地の伝統ある土地を訪れた旅行記。記述の端々に「日本(文化・伝統)礼賛」が見え隠れし、妙に気恥ずかしさを感じてしまった。現実はそんなに立派なものでもないと思います。
以前、中小都市や近郊の農村は大都市に比べ安全だと考えられてきた。しかし今日では、その関係は逆転してしまっている。バイパス道路沿いに大型商業店舗が開店し、全国どこでも画一的な街並みが形成される。多くの通行客が引き寄せられる一方で、旧来の商店…
15世紀の英仏百年戦争末期に彗星のごとく登場した乙女ジャンヌ。英軍に包囲されたオルレアンを解放し、国王を正式に戴冠させるも敵に囚われの身となり、異端審問を受け火刑に処され短い命を終えてしまった。本書では裁判記録とそれの後世における解釈を繙き…
身の回りに溢れる生活用品に付けられた様々な「マーク」。その趣旨や制定者、どのような基準で付けられているかなど、誰もが知っているべき知識を整理した一冊。参照すべきURLが書かれているので、より詳細な情報に容易に接することができる。 マークにより…
自らもショートショートを多数生み出している著者がショートショートを『完全なプロット』『新鮮なアイデア』『意外な結末』のある短編と定義づけ、内外での歴史や実践的な書き方指導までしてしまうという贅沢な内容である。かつて阿刀田高氏の同趣旨の著作…
毎日新聞論説委員である著者が昨今の日本を覆う閉塞感−主に政治経済の分野において−について、「常識」が足かせとなっていると指摘している。そしてその「常識」を捨ててみることにより、人の心も活性化するという。とはいえ、そう簡単に捨てられないのが「…
チョコエッグなど食玩で脚光を浴びた「海洋堂」専務が自ら語る、これまで歩んできた道と人間模様。関係者のコメントを要所に織り交ぜることにより、実録的雰囲気を高めている。作品に対する強い思い入れ(「こだわり」というべきか)は伝わってくるが、唯我…
日本の離島34を巡った紀行文。著者はなるべく自らの足で歩いて地元の人と話をすることを心がけているようで、単なる案内書的紹介に留まらない。鉄道の走らぬ所になかなか足が伸びない私にとっては本書で紹介された島の殆どが未踏の地で、興味深く読むことが…
イギリスを中心にした紅茶にまつわる歴史談義を縦軸にとらえ、多様な紅茶の品種とその原産地の現地報告を横軸に据えて、紅茶のこれまでとこれからを立体的に描き出した一冊。巻末には美味しい紅茶の淹れ方をまとめてあるのも親切である。 紅茶を片手に読み始…
ノルウェーの哲学者である著者が、古今の著作・音楽・映画などから「退屈」にまつわる記述・表現を集め、その本質を検証した一冊。哲学の翻訳書ということもあってか言葉が難しく、(大変申し訳ないことだけれど)この本そのものが「退屈」を体現しているか…
長い戦乱の時期を経て、石像など貴重な文化財の流出が続くカンボジア。報道カメラマンの著者は当地を何度も訪れ、裏事情にもかなり通じている。どのようにして文化財が商品として売られていくか、その一面を詳細に紹介している。 著者の手による写真からでも…