2006-08-01から1ヶ月間の記事一覧

俣野敏子「そば学大全」平凡社新書(2002年) ISBN:4582851525

植物としての「ソバ」から食物としての「そば」へと研究を続ける著者による蕎麦あれこれ。そばが江戸の街で受け入れられていく歴史を語った後、一転して世界のソバ料理などが紹介されている。麺としてではないにせよ、蕎麦掻きのような形態で各国でもソバが…

黒川伊保子「怪獣の名はなぜガギグゲゴなのか」新潮新書(2004年) ISBN:4106100789

言葉に対する印象を作り上げる音感に焦点をあてた本。「ことばの音を見、聞き、発しながら、私たちは、Sに爽やかさを感じ、Tに確かさを感じ、Hで開放され、Nで慰撫され、Kで鼓舞される」(同書P170)などとまとめられると「なるほどそうかなぁ」とも感…

三浦展 編著「脱ファスト風土宣言」洋泉社新書(2006年) ISBN:4862480209

日本の都市が郊外のバイパス沿いに設けられたショッピングモールに侵食されて空洞化し、地域の活力を失っていくという「ファスト風土」現象。その流れを変えようとする建築家など8名による脱「ファスト風土」の取り組みを紹介している。とはいえ、結局は経…

島泰三「安田講堂1968-1969」中公新書(2005年) ISBN:4121018214

1968年、ベトナム反戦の気運を背景に、医学部改革を契機として始まった東京大学の学園闘争。翌年になって闘争は拡大し、安田講堂攻防戦へと続いていった。1969年1月19日、同講堂内で逮捕された著者による、内側から見た東大闘争の実録記である。全共闘の成り…

伏木亨「人間は脳で食べている」ちくま新書(2005年) ISBN:4480062734

日々食事をとる上で欠かすことのできない「おいしさ」という要素。それを感じ取る機能を生理的要素や情報など多面的にとらえ、脳が支配する食生活の仕組みを説いている。自分の味覚よりも「情報」により美味しさを感じる危うさは、古来から馴染んできた伝統…

小笠原喜康「議論のウソ」講談社現代新書(2005年) ISBN:4061498061

統計・権威・時間経過・ムード先行という4つの要素により、まことしやかに唱えられる少年犯罪増加・ゲーム脳・ケータイの電源断・ゆとり教育にまつわる主張の危うさを指摘し、ものごとの本質を見る目を養う数々の方法論を提示している。 著者の論に賛同した…

清水義範「飛びすぎる教室」講談社(2003年) ISBN:4062121646

小学校で習った教科に関わる、けれど学校では滅多に学ぶことのなかった雑学的知識ネタを取り上げた連載エッセイの第7弾。今作では科目の枠を超えて、歴史から料理、聖書にお墓、果ては宇宙論まで展開していく著者の力量は素晴らしい。例によって微妙に(い…

養老孟司「こまった人」中公新書(2005年) ISBN:4121018192

中央公論誌に連載された随筆集の第二弾。主に時事問題を題材に、著者ならではの科学的・論理的視点から事象の本質を分析している。本書掲載の文章はちょうど『バカの壁』が話題の書となった時期に符合し、そうした世間の「評価」を多少なりとも意識している…

菅原健介「羞恥心はどこへ消えた?」光文社新書(2005年) ISBN:433403330X

羞恥心は何のためにあるのか、そして今、羞恥心はどうなってしまったのか。著者の社会心理学的分析によれば、他者の視線を気にするのは自分と関わりのある「セケン」において、である。そしてその「セケン」の範囲が、いわゆる世間という広がりを持ったもの…

西江雅之「『ことば』の課外授業」洋泉社新書(2003年) ISBN:4896917197

言語学者による「ことば」にまつわるあれこれ。「言語」と一括りにしても、母語と母国語の問題や外国語教育など、その概念は政治の影響を強く受けていると指摘する。かと思えば、動物には言葉が分かるのかなど、言語の本質を掘り下げてヒトの特殊性を論じる…

内井惣七「空間の謎・時間の謎」中公新書(2006年) ISBN:412101829X

ニュートンとライプニッツの論争を端緒に、相対性理論やビックバン、量子宇宙論までを哲学と物理学を融合した観点で論じているが、正直なところワタクシの理解の及ばない世界であった。無念(苦笑)。