佐伯有清「邪馬台国論争」岩波新書(2006年) ISBN:4004309905

 邪馬台国はどこにあったのか。20世紀における研究者の成果をたどり、九州説から近畿説への変遷をその論拠とともに明らかにしている。卑弥呼は誰なのか、果たして魏志の記述はどれほど正確なのか等々疑問はつきないが、古墳や鏡鑑類の出土状況などから見ると近畿説が有力らしい。
 本書ではなぜか殆ど触れられていないが、福岡県志賀島で出土した「漢委奴国王」金印の由来や佐賀・吉野ヶ里の巨大な遺構を考えあわせ、一概に九州説を否定しきってしまうのもつまらなく思うのはワタクシが門外漢の故あろうか。