田村秀男「人民元・ドル・円」岩波新書(2004年) ISBN:4004308992

 発展を続ける中国経済。その原動力の一つは通貨政策にあった。人民元の経緯から現状を概観し、運用面での米ドルとの密接な関係を導き出すことにより、その強さの秘密を描き出している。また、日本円が今後アジアの基軸通貨として支持されるためには如何なる施策をとるべきかについても多角的な分析を行っている。本書は人民元切り上げが国際問題となっていた時期の執筆で、刊行後にごく僅かな切り上げは行われたものの、米中関係のバランスから考えて切り上げはないと見ていた著者の予測は概ね当たっていた。
 身の回りには中国製品がいっぱい。同国の通貨・経済政策には無関心ではいられないのだ。