小泉義之「病いの哲学」ちくま新書(2006年) ISBN:4480063005

 生と死、その狭間にある病の状態。古今の哲学者はそれらの相関をどのように考えてきたのか。尊厳死安楽死はもとより、臓器移植の技術は生病死の根源的意味を古典哲学の範疇では捉えられないものにしてしまった。著者は「死に淫する哲学」を否定し、とことん生き抜くことに意義を見いだしている。延命治療を望まないのは果たして患者なのか家族なのか…といった問いはとても重たく苦しいものだと思う。