松尾理也「ルート66をゆく」新潮新書(2006年) ISBN:4106101572

 シカゴからサンタモニカまで合衆国中西部を貫く「ルート66」。2004年大統領選で「保守」共和党が勝利した土壌の背景と実態を現地で掘り起こした報告である。「南部・労働者」の民主党、「北部・都市層」の共和党という世界史の教科書的図式はとうの昔に崩壊し、共和党の地盤は「合衆国の保守層」である。そうした今日の保守層の宗教・科学観、政治行動、民族問題、戦争意識などを幅広い現地取材で拾い上げ、知られざる実像を明らかにした著者の力は大したものだと思う。
 2006年11月の中間選挙では「リベラル」民主党が勝利した。今度はそちら側のレポートも読んでみたいものである。