高瀬淳一「『不利益分配』社会」ちくま新書(2006年) ISBN:4480063161

 財政赤字の恒常・肥大化、経済の低成長と少子高齢化が進み、日本の政治の役割は国家の存続のために「既得権益の剥奪」と「新たな負担の強制」という2つの不利益分配へと姿を変えようとしている。小泉政権がその先駆者として、様々な角度から分析した一冊。旧来の自民党型政治である利権政治を打破することは時代の必然であった。これから首相として日本という国家と国民を導いていく人の素養までも提示する著者の論点の整理を見て、野党関係者はどのように感じるだろうか。さしあたり、安倍政権は小泉路線の修正どころか離脱を目指しているようにも思えるが…。