佐久間充「山が消えた」岩波新書(2002年) ISBN:4004307899

 千葉県房総半島。山砂利採取とその運搬に伴う悪影響は今なおなくならない。それどころか今日では建設残土や産業廃棄物が持ち込まれ、事故や煤煙、地下水汚染などの様々な様相で生活環境を脅かし続けている。著者は現地の住民ばかりでなくダンプ運転手や処理業者からも詳細な聴き取りを行って、問題の所在をえぐり出すとともに解決策も探っているが、要は行政による強力な規制が必要であると思われる。
 本書でも書かれているが、羽田への着陸便から見ると房総半島の山は傷だらけ。痛みの悲鳴が聞こえてくるようである。