岩下明裕「北方領土問題」中公新書(2005年) ISBN:4121018257

 膠着状態が長く続いている「北方領土問題」。かつては武力衝突を起こしていた中ロ国境問題が平穏に解決した事例を元に、この問題を如何に解決していくべきかを示唆した一冊。著者によれば「フィフティ・フィフティ」という政治的妥協、即ち「2+アルファ」という形で両国政府及び国民が折り合うのが最も良いとする。中ロ関係とは異なる要素も多々あるが、学ぶべき点は多いようだ。
 相互不信から脱却して対立軸を共存共栄に切り替えるのは困難ではあるが、歩み寄るように双方が努力していくことが互いの国益にもかなうと思う。旧来の概念に固執することなく、より望ましい形で解決できることを望まずにはいられない。