藤原明「日本の偽書」文春新書(2004年) ISBN:4166603795

 「記紀以前に作られた」とする様々な偽書を読み解き、それらが作られた背景と思想、今日に及ぼす悪影響などを分析している。近代になって台頭した「国家主義」思想が、そうした偽書の登場を求めていたことがよく分かった。偽書偽書として無視してしまえばいいのだが、ネタに詰まったテレビ局や雑誌がいい加減な企画として取り上げることにより、そうした偽書の内容が一人歩きし、何となく信頼性を得てしまうのが恐ろしい。嘘も百万遍言えば真実となる…などと言うし。