五十嵐敬喜,小川明雄「『都市再生』を問う」岩波新書(2003年) ISBN:4004308321

 バブル崩壊後も建築基準法などが緩和されて超高層ビルの建設が促進されたことにより、住民の生活基盤が破壊されていく様子を詳細に追っている。政官財の癒着構造がもたらす行政の無計画さに憤りを感じるとともに、土地所有者を適切に律することのできない市民性のなさには無力感を覚える。本書の刊行は高層住宅の一部取り壊しを命じた国立マンション訴訟の第1審判決が出たばかりの頃。その後の司法の流れは再び開発優先へとなびいており、現状はさらに悪化していると思う。
 ひとたび大地震でも起きたならば、無秩序に立てられたビル群はどうなってしまうことか。