里中哲彦「まともな男になりたい」ちくま新書(2006年) ISBN:4480062947

 本書の章名に従っていけば、自らのみっともなさを自覚し、教養を身につけ、恥を知り、俗物性を手なずけ、寡欲の心をもち、平衡感覚を生きることが「まともな男」の条件なのだという。凡人にはなかなか難しい所業である。(カタカナ語を極力排し漢語表現に拘るあたりに自らの博覧強記ぶりを仄めかしているやにも感じられるが)著者の主張には大筋において賛意を抱いた。
 それにしても「まともな人間」ではなく「まともな男」とした著者の意図を裏読みしたくなるのは、ワタクシがまだ俗物性を手なずけられていない故なのでしょうな。