諜報機関に騙されるな!/野田敬生

諜報機関に騙されるな! (ちくま新書)

諜報機関に騙されるな! (ちくま新書)

 映画や小説では間諜や諜報組織が大活躍している。しかし現実の世界ではどうなのか。イラクアルカイダ、中露、朝鮮などを舞台に、諜報活動の実態と限界について綿密な取材や資料調査により探り出した本。米国のような巨大組織を潤沢な資金で運用している国でさえ、実際に入手できる機密情報は極々僅かなものであり、さまざまな工作活動は失敗の連続であるという状況は、それら組織の存在意義そのものに疑念を抱かせる。著者は組織への監察制度についても我が国の薄ら寒い現状を痛烈に批判し、過大な幻想に対して戒めを発している。
 我が生活に無縁だと思ってはいるが、実はそうでもないのかもしれないのが恐ろしいところ。