ことば遊びの楽しみ/阿刀田高

ことば遊びの楽しみ (岩波新書)

ことば遊びの楽しみ (岩波新書)

 しゃれ、なぞかけ、比喩、しりとり、回文、四十八字歌、早口言葉…日本語のさまざまなことば遊び、文字遊びを収集し、著者自身も作って紹介するという一冊。表音文字表意文字が混在する一方、仮名については発音と表記とが原則として一致するという日本語の特性が多彩な『遊び』を現出してくれるのだ。本書内で紹介されたもののうち「さよなら三角〜」や元素の周期律の語呂合わせなどはワタクシの記憶とは異なっているが、日本全国においてさまざまな口承口伝があったのだろう。こうしたものは記録に残しておかなければ記憶からは消え去る運命にある。「ことばは民族の文化そのものであ」るという著者の思いにワタクシも大いに賛同するものである。言葉をもっと大切にしていきたいとの意を強くした。
 新しいことば遊び、今ならさしずめ「誤変換」であろうか。パソコンのかな漢字変換も今ではかなり賢くなってきたけれど、時折「ええっ?!」と我が目を疑う変換候補を出してくれたりもしますな(笑)。