人生がラクになる心の「立ち直り」術/斎藤茂太

世に数多あふれる同類の書。著者の独自の視点や切り口は、残念ながら見出せなかった。
著名人による単なる励ましの域を超えない本、でした。

人間の往生/大井玄

人間の往生―看取りの医師が考える (新潮新書)

人間の往生―看取りの医師が考える (新潮新書)

終末期医療に携わる著者ならではの視点から描かれた生病老死。その考察は医学の見地から宗教へと拡がってゆく。
いつかは必ずやって来るおしまいの日。病院で管や電線につながったままではなく、自分らしい状況でその時を迎えられたら、と思う。

飛行機の操縦/坂井優基

飛行機の操縦 (PHP新書)

飛行機の操縦 (PHP新書)

旅客機の出発準備から離陸、巡航中、着陸、そして駐機に至るまで、操縦室内で行われているさまざまな動作や機器の働き、安全対策などについて、臨場感たっぷりに紹介している。
自動化が進んでいるとはいえ、操縦士や地上職員、管制官らが実にさまざまな制約の下で安全確保のために気を配り、困難な動作を行っているかがよくわかった。

着陸の際、衝撃もなくふんわりと設置するのは(条件によってだが)必ずしも良い着陸ではない・・・というのは不勉強で知りませんでした。

地下街の雨/宮部みゆき

地下街の雨 (集英社文庫)

地下街の雨 (集英社文庫)

当代きっての名作家。その切れ味は短編小説でこそ発揮されるようだ。巧みな人物設定と情景描写、意外な展開に予想外の結末・・・。いずれの作品も、読者を一気に引きずりこんで読ませてしまう魅力(魔力?)をもっている。

精神科ER 鍵のない診察室/備瀬哲弘

精神科ER 鍵のない診察室 (集英社文庫)

精神科ER 鍵のない診察室 (集英社文庫)

救急医の役職を離れ、街中で開業医として精神医療に携わる著者。前著の続編である。

事実に沿った描写が多数盛り込まれ、臨場感・切迫感にあふれている。そして患者の気持ちに寄り添い、心の病と向き合おうとする著者の強さと優しさも読者に安心感を与えてくれる。
精神疾患に対する偏見が未だ根強く残る日本社会にあって、啓蒙につながるこの類の書物がもっと幅広く読まれ支持されることを願わずにはいられない。

科学の扉をノックする/小川洋子

科学の扉をノックする (集英社文庫)

科学の扉をノックする (集英社文庫)

小説家が日本科学の最先端技術の第一人者を訪れて話を聞く。難解な科学を極力平易に解説しようと試みた著者および編集者の意図と努力は伝わってきたが・・・。
ワタクシの錆びた脳みそにはやはり難しかったのだった。

みんなが知りたい地図の疑問50/真野栄一 ほか

紙媒体から急速に電子化が進む地図にまつわる最新情報を一問一答形式で50題収録している。地図の使用者・作成者双方の視点から興味深い話題が取り上げられており、色刷り図版の効果もあって一気に楽しんで読み進むことができた。
情報の検索・絞込みなど、機能面では電子媒体にかなわない紙の地図だが、それをぼんやりと眺めているだけでも楽しいものです。