戦国軍事史への挑戦/鈴木眞哉

戦国軍事史への挑戦 ~疑問だらけの戦国合戦像 (歴史新書y)

戦国軍事史への挑戦 ~疑問だらけの戦国合戦像 (歴史新書y)

映画やテレビの時代劇、歴史小説で描かれる戦国時代の合戦。その様子は実態とは全く異なるものだ――信頼の置ける資料の調査に基づいて、著者はこれまで数々の著作でそう指摘してきたという。本書はそれらの集積であり、そのような研究においてもなお不明である諸点を提示している。
合戦といえば刀で斬り合うチャンバラを連想してしまうが、実際には弓矢、時代が下ると鉄砲による死傷者の方が多かったらしい。そのほか「武田の騎馬軍団」「信長の『進歩的』な鉄砲隊」が虚構に過ぎないというのも面白かった。

地図と愉しむ東京歴史散歩/竹内正浩

カラー版 地図と愉しむ東京歴史散歩 (中公新書)

カラー版 地図と愉しむ東京歴史散歩 (中公新書)

明治以降の古地図に記録されたいにしえの東京。その姿を大きく変えながらも今なお生き続けている街並みや遺構の今を多数の写真と共に紹介している。
土地勘のある人には堪らない一冊だろう。

うつにならない言葉の使い方/倉成央

心を守る33の見えないクッション うつにならない言葉の使い方

心を守る33の見えないクッション うつにならない言葉の使い方

これもまた「うつ」に関する啓蒙書の一冊。カウンセラーとしての立場から、「うつ」を招きにくいモノの考え方を説き、33の短文に集約することで意識改革を容易にしようという試みである。
それが成功するかどうかは読者各人がどの程度うつ傾向にあるか、うつの病前性格にどの程度合致しているか、また周囲の「圧力」の強さにも大きく左右されることになろう。

ウェブはバカと暇人のもの/中川淳一郎

ウェブはバカと暇人のもの (光文社新書)

ウェブはバカと暇人のもの (光文社新書)

著者の結論は書名に集約されている。自身の見聞・実体験をもとにそれを明らかにしていく一冊である。

匿名性に由来するワルノリや根拠のない風説流布がネット世界には溢れており、そこには性善説は通用しないのだ。
ネットの影響力も既存マスコミは大きく評価しているが、TVには全くかなわない(むしろTVでの話題がネットでも話題になっている)のであり、広告媒体としても適当なものではないということを著者は力説している。
ネット社会の行く末は、決して明るいものではない。そんな著者の見解に、ワタクシも頷くところ大なのでありました。

数字のウソを見抜く/野口哲典

数字のウソを見抜く (サイエンス・アイ新書)

数字のウソを見抜く (サイエンス・アイ新書)

統計や確率など、『数値』を示されることによって客観性が保たれ、正確性が保障されているように感じてしまう・・・そんなワタクシたち一般人。しかし、その数値の本来の意味を取り違え(あるいは取り違えるように仕組まれ)事実とは全く逆の結論を導いてしまうことも往々にしてあるものだ。
そんな落とし穴について、身近な例を多数引きつつ紹介する、気の張らない数学的読み物である。

「数学はちょっと苦手で・・・」という向きにも楽しめる一冊だ。

肝臓病/渡辺純夫

肝臓病――治る時代の基礎知識 (岩波新書)

肝臓病――治る時代の基礎知識 (岩波新書)

沈黙の臓器・肝臓の病気は、生活の質を大きく損ねるどころか、命さえ奪うことがままある。原因や治療、予後について概観した肝臓病の啓蒙書。患者や家族ばかりでなく、誰もが知っておくべき知識だろう。

もっと早くこの本と出会えていたなら・・と、今さらのように思う。あれから3年半が過ぎたのか。

世界で勝てるデジタル家電/西田宗千佳

メイドインジャパンとiPad、どこが違う? 世界で勝てるデジタル家電 (朝日新書)

メイドインジャパンとiPad、どこが違う? 世界で勝てるデジタル家電 (朝日新書)

高機能を誇る日本製家電。しかし今日では世界市場で成功をおさめているとは言い難い状況となってしまった。量産化や品質管理などの日本企業の「基準」が世界のそれとズレてしまったのだ。

失われてしまった競争力を取り返す技術が日本にはまだある――著者は本書でそう鼓舞しているが、ワタクシもそうであって欲しいものだと心底から思うものである。