立岩二郎「てりむくり」中公新書(2000年) ISBN:4121015150

 銭湯や古寺社などで見かける唐破風=「てりむくり屋根」。反転曲面を用いたデザインの起源と展開を追究し、現代の建築や自然の中にも「てりむくり」を見立てている。本書の後半では大きく飛躍して、曖昧・優柔不断な日本人の精神性をも「てりむくり」であるとまで規定している。
 緩やかな波形のデザインはゆとりを感じさせる。読者もゆとりを持って本書を読みたいものである。