高山文彦編著「少年犯罪実名報道」文春新書(2002年) ISBN:4166602616

 1998年1月に堺市で起きた19歳の男による通り魔殺人事件。未成年犯罪者の氏名等公表を禁じた少年法第61条に反し、編著者は「新潮45」誌上に実名を明かしたルポルタージュを発表した。なぜ編著者らは氏名公表に踏み切ったのか。損害賠償請求訴訟の流れと判決、それを受けてのマスコミの論調なども交えて多角的な構成の中で、報道の本質的意義とは何なのかを追究している。
 こうした凶悪事件の場合(しかも現行犯逮捕である)、『加害者の人権』なるものの存在には首を傾げざるを得ない。編著者らの主張が認められて何よりである。