野口武彦「忠臣蔵」ちくま新書(1994年) ISBN:4480056149

 年末の恒例行事とも言えそうな「忠臣蔵」はドラマ化の過程で様々な脚色が施されている。本所では典拠を著者の信頼の置ける資料に絞り、「松の廊下」から決着に至るまでの各過程で何が起こったのか、その実像に迫っている。討ち入り直前に脱落した「非義士」も実はそれぞれの役割を果たしていたとする著者の視点は情に流されることなく冷静である。
 忠義のために命をかける。いまのご時世では考えにくくなってしまいました。