渡辺敬一郎「強すぎた名馬たち」講談社α新書(2004年) ISBN:4062722402

 レース中、あるいはレース直後に死を迎えてしまった競走馬。著者の記憶に残る8頭の軌跡を関係者の証言から鮮やかに浮かび上がらせている。キーストンと山本騎手の事故は(競馬ファンの間では)よく知られた話だが、重傷を負いながらも騎手を気遣った馬の健気さに涙を禁じ得ない。ライスシャワーの最期は中継で目の当たりにしていたので、その時の衝撃を思い出してしまった。
 競馬は単なるギャンブルではなく、多くのロマンを秘めている。本書で取り上げている生と死のせめぎ合いもその要素の一つなのだろう。