柴田鉄治「科学事件」岩波新書(2000年) ISBN:4004306639

 臓器移植や公害病原発事故など7つの科学事件を題材に、科学と社会の関わり合いを描き出している。行政や企業、学会が発する情報は必ずしも国民本位の流れになっていない。それを仲介する報道の役割を著者は重視しており、今後とも積極的に関わっていくべきだとしている。科学の進歩なしでは現代の我々の生活は成り立たない。しかし進歩の陰にある負の要素にも心を配らなければならない。報道による情報は、この分野に限らず不可欠であることは間違いない。とはいえ、それがスクープ頼りになっては心許ないところだが…。