岩崎日出俊「サバイバルとしての金融」祥伝社新書(2005年) ISBN:4396110081

 株価は本来どのようにして決まるのかという投資の基本から始まって、企業価値を極大化するためにはどうしたらよいのか、M&Aをどう考えたらよいのか等々、今の経済を読み解く基礎知識を授けてくれる本。「キャッシュフローを元に算出される企業価値に注目せよ」「日本の経済市場はまだ十分に機能しているとは言えない」など、長年に渡り金融の最前線に携わってきた著者ならではの、明快な信念が見て取れる。
 本書を読んでいると、バブル経済崩壊以降の不況は起こるべくして起こったものだと思えてくる。目先の利益にとらわれず、ルールを守って長期の可能性に賭ける。経営哲学に限らず人生にも当てはまる視点だろう。