中野晴行「そうだったのか手塚治虫」祥伝社新書(2005年) ISBN:439611009X

 20世紀後半の漫画・アニメ史に燦然と輝く手塚治虫の作品たち。代表作品を時系列的にたどり、各作品が描かれた時代/社会の背景から手塚氏が伝えたかったことの本質を探り出そうとする一冊である。読み進むうちに、手塚氏は生きることの意義や幸福とは何かであるかを考え続けていたことが明らかになってくる。鉄腕アトムジャングル大帝ブラックジャック……と、手塚作品に馴染んできたワタクシも、各作品を改めて読み直したくなった。
 漫画の中では鉄腕アトムの誕生は2004年。現実はまだ追いついていない部分も多々あるが、それは幸せなのか不幸なのか……。