香山リカ「ぷちナショナリズム症候群」中公新書ラクレ(2002年) ISBN:4121500628

 サッカーの国際試合などで、無邪気かつ熱狂的に「ニッポン」を応援する人々が氾濫している。批判精神も自己の相対化もなく流されていく姿を著者は「ぷちナショナリズム」と呼び、やがて本格的なナショナリズムに傾いていくことに対し危機感を抱いている。また、その流れは世襲制的な「階級」を形成しつつあると指摘している。私も「国を愛する気持ち」が内包する危うさを忘れてはならないと思う。
 著者の文章は論旨が明快でわかりやすい。かくありたいものです。