杉山幸丸「進化しすぎた日本人」中公新書ラクレ(2005年) ISBN:4121501918

 霊長類を長年研究してきた著者が、少子化・引きこもりなど今日の日本における諸問題について考察した一冊。集団生活から社会性を学び、社会生活が知能の発達をもたらすという生物進化の方向は正しかったはずなのに、いびつな形でそれが進行していることによりもたらされる弊害は、最早看過できない状況である。心を豊かに、人間らしく生きていくために、自らに少し余計に負荷をかけて進んでいきたい。
 それにしても、生物の使命は子孫、即ち自らの遺伝子を残すことなのだろうか……。