小宮信夫「犯罪は『この場所』で起こる」光文社新書(2005年) ISBN:4334033199

 一時は「世界一安全な国」という神話すら信じられてきた日本。しかしいまや犯罪は増加の一途をたどっている。それに対する対策は、犯罪者の人格・環境・境遇などを探るばかりで本質的なものとは成り得ていない。著者は「犯罪機会論」の視点から、欧米での実例も踏まえてどのような場所で犯罪が起きやすいのかを探っている。その結果、区画性・無死角性という地域環境を整えると共に、地域住民や自治体・警察などが一体となって縄張り意識・当事者意識を持つことにより犯罪を未然に防ぐことを提唱している。また、監視カメラや地域活動の有効性も認められるという。
 ゴミのポイ捨てや落書きを放置することが重大な犯罪を呼び起こす。そんな「割れ窓理論」からすると、我が街は決して褒められた水準ではなさそうだ。身近なところから、手をつけていきましょう。