丸田隆「裁判員制度」平凡社新書(2004年) ISBN:4582852327

 2009年から導入される裁判員制度とはどのようなものなのか。諸外国の類似制度や今回の導入に至る経緯もふまえつつ具体的制度を紹介し、その問題点をも指摘している。日本の国民性にそぐわぬという理由で葬られた陪審制度であるが、著者によると陪審制こそが国民の「統治主体」としての意識を高めることに役立つという。現状の個人主義風潮(実際には「自分主義」と言うべきか)の中では著者の訴えも虚しく聞こえてきてしまうのだが(だからこそ陪審制が重要なのだ、ということになると「ニワトリと卵」の関係になってしまうなぁ)。