武内孝夫「こんにゃくの中の日本史」講談社現代新書(2006年) ISBN:4061498339

 江戸時代末期から換金性作物として急速に発展したコンニャク作り。その生産量増大・流通経路拡大の事情をたどり、コンニャクがいかに日本に根付いていったかを明らかにしている。またその過程で、軍事目的という意外な利用法があったことにも触れている。ここ数十年の物価が上昇した局面においてもコンニャクはさほど値上がりしていない、即ち相対価格の下落が続いているようであるが、製造過程の機械化が「適正」な流通状況を破壊したとする著者の指摘はある意味必然でもあろう。
 「こんにゃくはお腹の中の砂をとるから食べなさい」と言われて随分食べたけれど、我が腹の中は真っ黒のままかもしれません。