最相葉月「いのち」文春新書(2005年) ISBN:4166604740

 クローン羊「ドリー」の誕生が大きく報じられてから9年。生命科学は如何なる道をたどり、この先どこへ歩もうとしているのか、そしてその倫理的指針はどうなっているのか。著者と哲学者・発生生物学者・遺伝病患者支援者・宗教学者など12人との対話により、それを浮き彫りにした一冊。遺伝子レベルでの研究は生命そのものを作り上げることなど出来ず、また尊重してもいない。経済的動機や功名心などによって弄ばれてはならない分野であるということはよく分かる。
 本書刊行後、韓国のヒトクローン胚によるES細胞研究がでっち上げだと指弾された。さもありならん。