香山リカ、森健「ネット王子とケータイ姫」中公新書ラクレ(2004年) ISBN:4121501551

 ネットやケータイにはまる若者の心理に関する香山氏の分析と、森氏によるいくつかの実態報告。それを踏まえて親や子はそれぞれどのように対応していけばよいのかという提言をまとめた構成になっている。しかしながら、「少女たちは自己への不安から関係性を確認するためにケータイに走り、少年たちは世界に特権的な存在として君臨できない失望を埋めるためにネットに走る」(本書P41)と香山氏が的確にまとめているのに、(耳目を惹くために極端な例を取り上げたためか)森氏のレポートはそれと些か食い違っている。編集者の問題なのだろうが、それならいっそ別々の著作としておけばよいものを、と思ってしまった。