原田多加司「職人暮らし」ちくま新書(2005年) ISBN:4480062599

 現役檜皮葺職人の親方である著者が自ら語る『職人』の日常。普段の生活、技術の取得と承継、後進の育成、意識のありようなどが忌憚なく語り尽くされている。「頑固一徹」などというステレオタイプの職人像は必ずしも実態を現してはいないようだ。分業化が進む今日、単なる技術者に留まらず技能と心意気とを兼ね備えた「職人」の価値はますます増していると思う。引き際について語る終章は、職人というよりむしろ人間そのもののそれを言明しているかのようであった。