リリー・フランキー「東京タワー」扶桑社(2005年) ISBN:4594049664

 多芸多才な著者の自伝的小説。訳あって母子家庭同然の暮らしをした少年時代、そして一人暮らしをはじめた高校生以降も、「ボク」は常に「オカン」の有形無形の庇護の下にいた。そこに一定の距離を置きつつ時折絡む「オトン」。不器用で一風変わっているけれど、それぞれがそれぞれの思いをもって懸命に生きてきた。ようやく自立しオカンを東京に呼び寄せて満ち足りた日々を過ごしたのもつかの間、病に倒れるオカン。無償の愛を息子や周囲の人々に精一杯振りまいて亡くなったその生涯は、きっと幸せだったのだろうと思いたい。読み終えて、母親と話がしたくなる一冊でした。
 


 ☆何やら明日テレビドラマで放映の由。うーむ、イメージを壊してほしくないなぁ。