小川裕夫編著「日本全国路面電車の旅」平凡社新書(2005年) ISBN:4582852750

かつては「自動車運行の妨げになる」として撤去され続けてきた路面電車。しかし今、環境に与える負荷が小さくバリアフリーにも貢献するとして見直しの気運が高まっている。各地で新型車の投入が行われたり、路線の延長・新設も検討されているという。札幌から鹿児島まで全国13都市を走る路面電車の「今」を記録したのが本書である。車輌、運賃やお得な切符、沿線の見どころ、乗客の様子など詳細な案内本となっており、ワタクシも各路線に乗車した当時のことを懐かしく思い出したり、変化に驚かされたりした。惜しむらくは富山など数都市に関して極めて簡略な記述しかなかったこと。紙幅の都合もあったのだろうが、全路線を網羅してほしかったところである。