モノ・サピエンス/岡本祐一朗

モノ・サピエンス 物質化・単一化していく人類 (光文社新書)

モノ・サピエンス 物質化・単一化していく人類 (光文社新書)

 書名はもちろん「ホモ・サピエンス」のもじり。副題でいうところの「物質化・単一化していく」という「物」と「mono」の両義をかけている。70年代以降、急速に進行している2つの「モノ」化を、消費者社会、労働、遺伝子工学、社会思想など多彩な切り口で把握分析したのが本書である。一つひとつの事象の検証・解析は正に著者の言うとおりで、「モノ」化の進行は今後も止められないだろう。そして著者は資本主義社会の行き着く先として「モノ・サピエンス」化は歴史的必然と捉え、それが進行することにより現代社会の内的矛盾を明らかにすることを期待している。しかしその矛盾を如何に解決していくか、そもそも解決できるのかについては明らかにしていない。どうも暗い未来の萌芽をそこに見いだしてしまうのは、ワタクシが悲観的すぎるのだろうか。